マネのば編集部による突撃インタビュー記事、早くも第3弾が登場です!
今回のテーマは”冷蔵庫”。庫内の見直しをすることが、節電のみならず、節約、さらには環境貢献にもつながることはご存知でしょうか。マネのばですっかりお馴染みとなった”家電王”中村剛さんが、今日から簡単に始められる、冷蔵庫・冷凍庫の改造のポイントを伝授します!
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冷蔵庫の使い方ひとつで、節電にも節約にもつながりやすい

編集部
中村さん、今日もよろしくお願いします。今日のテーマは”冷蔵庫”とのことですが、冷蔵庫の見直しが節電・電気料金の節約につながるというのは本当でしょうか?

中村さん
よろしくお願いします。皆さんが家計の見直しを考えるときに真っ先に思い浮かべるのは、例えば光熱費の節約ならエアコン、通信費を安く見直すなら携帯電話などかもしれません。しかし、冷蔵庫にも見直しのポイントがたくさん詰まっているんですよ。

中村さん
冷蔵庫は消費電力量が第2位の家電ですし、節電しやすそう!と思う方も多いのですが、冷蔵庫の省エネ化は既にかなり進んでいて、10年程度前と比べて消費電力量は半分になったケースもあります。かつては年間の消費電力量が700~800kWhの製品が多かったのですが、現在では200kWh台の製品も登場しています。

中村さん
そして気をつけて欲しい点が、冷蔵庫の大きさと消費電力量は必ずしも比例しておらず、性能が高い冷蔵庫は大容量、大型でも省エネですし、逆に容量が小さく本体価格が安い製品の中には消費電力量が高いままのものもありますので、その場合は結果的に購入後にかかる費用は大きくなります。これは断熱性能の違いによるんです。

編集部
こうしてカタログを見て比較していると、700L以上の大容量冷蔵庫を使用したほうが、一人暮らし用の冷蔵庫よりも消費電力量が少ないことまであるんですね・・!驚きです。

中村さん
そうなんですよ。話を戻しますが、仮に年間消費電力量300kWhの冷蔵庫の場合、1kWhあたり31円(注:全国家庭電気製品公正取引協議会が定めた目安単価)で電気代に換算して計算すると年間で1万円弱。つまり、月あたり800円くらいなんです。

編集部
なるほど・・電気代節約という観点では、ある程度新しい冷蔵庫だと、できるとしても月に数百円程度の節約ということですね。

中村さん
もちろん節電として出来ることもありますが、今日はもう少し広い視点で出来る節約についてお話しましょう。今日から暮らしの中で手軽に始められることもたくさんありますから、是非1つでもポイントを覚えて帰ってくださいね。
今日から始められる!冷蔵庫・冷凍庫の改造ポイント

中村さん
今日は5つの改造ポイントをお伝えしましょう。どれも簡単なことばかりなので、安心してくださいね。
①食材は“逆コの字型”に整理

中村さん
1つ目のポイントは庫内を”逆コの字型”に整理することです。皆さんは冷蔵庫に食材をしまうとき、どのように入れていますか?

編集部
すぐ使うものは手前に、保存のきくものは奥に入れるとか・・

編集部
私は全く何も考えずに入れています(笑)

中村さん
真ん中の中央部分は一番目に留まりやすく手にしやすい場所なので、ほとんどの方が何かしらの食材を入れています。でもおすすめは、冷蔵庫の中心部を空けて壁際に沿って配置する置き方です。私は”逆コの字型”と呼んでいます。

編集部
逆コの字型!でもなぜ真ん中を空けるのでしょうか?

中村さん
理由は2つあります。1つ目は、冷蔵庫の構造上、真ん中を空けることで庫内に冷気が循環しやすくなり、結果として少ない電力エネルギーで効率的に庫内を冷やすことができるためです。そして2つ目は、逆コの字型に配置することで、庫内に入っている食材が一目で把握できるようになるためです。

編集部
たしかに、いつ買ったかわからない消費期限切れの食材が、冷蔵庫の奥から出てきたことがあります・・。

中村さん
庫内を整理して何が入っているかを把握することで、ムダに買うことも捨てることもなくなりますから、結果としてフードロス削減にもつながるんですよ。そして、逆コの字型に置こうとすることで、必然的に入れられる物量も減りますから、買い物をするときの衝動買いも減るかもしれません。庫内を冷やす電力エネルギーも少なくて済むので、もちろん節電にも繋がりますよ。

編集部
一石二鳥どころか三鳥ですね!
②冷蔵庫内はゆとりをもって、冷凍庫内はパンパンに

中村さん
続いてのポイントも、同じく庫内の収納方法についてです。冷蔵庫と冷凍庫、それぞれどのくらい食材を詰め込んでいますか?

編集部
我が家は冷蔵庫も冷凍庫もパンパンです。でも、先ほどのお話からすると、詰め込みすぎるのは良くないのではないでしょうか。

中村さん
冷蔵庫に関しては、先ほどお話したように、庫内にゆとりを持たせることで冷気が循環します。ただし、冷凍庫はその逆で、実はパンパンに収納したほうが冷却効率があがります。

編集部
えっ、そうなんですね!

中村さん
もし冷凍庫に入れるものが少ない場合は、保冷剤などを活用するのも良いですね。
③食材は新鮮なうちに小分けにして冷凍

中村さん
これまでの2つのポイントにも関連しますが、食材を小分けにして新鮮なうちに冷凍することが3つ目の改造ポイントです。

編集部
たしかに、買ってきた食材を冷蔵庫に入れたまま放置するよりも、冷凍したほうが冷蔵庫にはゆとりができて、冷凍庫はパンパンになって、更には食材の劣化も防げますね!

中村さん
もちろん、冷凍に適さない食材もありますから、なんでも冷凍するわけにはいかないでしょう。それでも、多くの野菜や肉、魚は冷凍可能ですから、ちょっとしたひと手間を習慣化できると良いですね。

編集部
買い物から帰るとへとへとで、適当に冷蔵庫に入れてしまっていました・・。でも、これだけメリットがあると分かったので、少しずつ実践に移そうと思います!

中村さん
最近は冷凍庫の性能も格段に進化していますし、冷凍の食材を使った調理器具も出ていますよ。このテーマについては、次回詳しくお話しましょう。
④庫内の温度設定を調節

中村さん
次に、庫内の温度設定についての改造ポイントをお伝えしましょう。だいたいの冷蔵庫には「弱」「中」「強」のメモリがついています。これを「弱」や「中」に切り替えることで節電に繋がりますよ。資源エネルギー庁によると、設定温度を「強」から「中」にした場合、年間で61.7kWh節電でき、電気代に換算すると約1,910円の差になります。

編集部
それは結構な差ですね!でも、年中通して同じ温度設定で問題ないものでしょうか?

中村さん
夏場は「中」~「強」にした方が良いですが、そのほかの季節は「弱」~「中」で問題ないですよ。

編集部
設定を変えるだけでよいのでまさに今日からできますね。今日、自宅に帰ったら早速確認します!
⑤ドアパッキンの劣化をチェック

中村さん
最後のポイントは、ドアパッキンの劣化をチェックして、必要に応じて交換することです。

編集部
ドアパッキンって自分で交換できるものなんですね!

中村さん
できますよ。家電量販店で取り寄せることもできますし、ネットで買えることもありますから、ご自宅の冷蔵庫の型番を控えておきましょう。

中村さん
ドアパッキンには、冷蔵庫を閉めたときに隙間ができるのを防ぐ役割があります。開閉を重ねるうちにパッキンが劣化して隙間ができると、庫内の冷気が逃げてしまいます。

編集部
なるほど・・。交換を検討する目安ってありますか?

中村さん
名刺や薄い紙を挟んでドアを閉めてみて、紙が滑り落ちてしまった場合には、交換することをおススメします。
家電王直伝!進化した最新冷蔵庫とは

編集部
色々と勉強になりました!最後に、せっかくの機会なので、冷蔵庫の最新機能やトレンド、おすすめの製品などあれば、教えていただけますか?

中村さん
今日は、機能面とデザイン面でそれぞれおすすめの製品をご紹介しますね。
フードロス削減にもムダな出費抑制にも!冷蔵庫の庫内を遠隔管理する時代

中村さん
近年は冷蔵庫の庫内をアプリで管理できる冷蔵庫も登場しています。

編集部
ついに冷蔵庫もアプリで管理できる時代になったのですね!具体的にはどんな仕組みなのでしょうか?

中村さん
1つはカメラで庫内を撮影し、アプリにデータを共有する仕組み。もう1つは庫内に重量センサーを搭載して、買い置きしている食材の残量がアプリで分かる仕組みです。カメラ機能のある製品としては、日立の「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」やアイリスオーヤマの「STOCK EYE」がありますね。

編集部
庫内をきちんと撮影するために、結果として整理する習慣がつくかもしれません!

中村さん
重量センサーを搭載した製品としては日立の「スマートストッカー」やパナソニックの「ストックマネージャー」があります。卵や牛乳、お酒など、常にストックしておく製品の在庫管理に適しています。

編集部
買い物に出かけた後に、「あの食材、まだ残ってたっけ・・?」と心配になって、つい多めに買い足してしまうことがよくあります。

中村さん
買いすぎて、気づけば消費期限切れ、という経験は皆さんお持ちだと思います。フードロスも出費のムダも抑えられるので、買い替えを検討している方は知っておくと良い機能でしょう。
冷蔵庫ではなくインテリア・・!?使い方も多様な見せ”冷蔵庫”が登場

中村さん
そして最後にご紹介したいのが、日立の「Chiiil(チール)」という製品です。まずはこちらを見てください。

編集部
え、これ冷蔵庫なんですか!?オシャレすぎます!

編集部
まるでモデルルームにあるインテリアのようですね・・!見た目もシンプルですし、冷蔵庫では見たことがない柔らかな色調で素敵です。

中村さん
ライフスタイルストアのACTUSという会社とコラボレーションしてカラーバリエーションを決めているんですよ。この製品は、冷蔵庫=キッチンに置くもの、という概念を取り払って、好きな場所で好きなように置いて使える設計になっています。リビングや寝室に置いたり、キッチンがない階においたり、生活スタイルに合わせて置く場所を楽しめますよ。

編集部
我が家はキッチンが1階で寝室が2階なので、夜ちょっと喉が渇いたときなんかに寝室にあると便利そう・・!

中村さん
庫内温度の設定は、「冷蔵」or「セラー」が選べるので、冷蔵庫としてはもちろん、ワインセラー等としても使えるのも特徴です。また、縦に2個積み、横に2個置きしても使えますので、家族住まいの方にも使いやすいですね。

編集部
生活に溶け込む冷蔵庫、まさに発想の転換ですね。何より見た目がオシャレなので、リビングとキッチンが一体になっている一人暮らしの方やインテリアにこだわりのある方にとっては、生活感が出にくいので魅力的ですね!
【まとめ】冷蔵庫の使い方を見直してみよう

編集部
中村さん、今日もありがとうございました!冷蔵庫は毎日必ず使うものですし、思った以上にちょっとした工夫で節約にも節電にもつながるということを知ることができて、勉強になりました。

編集部
そして、フードロスについても考えるきっかけになりました。家計が助かるだけではなくて、環境のためにもなると思うと、更にモチベーションにつながりました。

中村さん
それはよかったです。冷蔵庫は本来、食材を美味しく食べるために保存するもの。そのためにも、正しく収納したり、汚れを拭いたりといった”正しい使い方”を意識していただければと思っています。最近の冷蔵庫は開けっ放しにするとすぐにセンサーが鳴るので、ドアを閉めることに必死になってしまって、雑に収納したり庫内の汚れに目をつぶってしまいがちではありませんか?本来の冷蔵庫の役割を考えると、本末転倒ですよね。

中村さん
今日お話したように、電気代節約の観点でいうと、必要な時に多少の時間ドアを開けていても、大きな影響はありません。むしろ、収納方法や衛生面を気にしていただいた方が、生活コストの削減に繋がりますよ。小さなことからでもいいのでぜひ今日お伝えしたポイントを実践して、お財布にも環境にもやさしい取り組みを習慣化してくださいね。
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東京電力エナジーパートナー(株)中村剛
2002年に『TVチャンピオン』のスーパー家電通選手権で優勝し、体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営にあたる。現在は家電王として動画『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信している他、テレビ、雑誌、新聞、WEBなどのさまざまなメディアで暮らしに役立つ家電情報を発信中。
https://www.youtube.com/channel/UCGSXwlnTWgcf6wHoekOlq-Q