住宅ローンの審査とは?より良い条件で住宅ローンを借りる方法

住宅ローンには審査があります。
現在多くの金融機関が金利が低く団体信用生命保険(以下、団信)も充実した住宅ローンを提供していますが、どのローンも審査に通らないと借りられません。

 

住宅ローンの審査結果としては、そもそも借りられるかという点といくらまで借りれるかという点の2点があります。各金融機関が独自の審査基準を持っているので、同じ人でもA銀行では借りれなくてB銀行で借りられた、とか、C銀行からは3千万円しか借りられないが、D銀行なら4千万円まで借りられた、などといったことが起こります。

 

では、金融機関は何を見てどのように住宅ローンの審査をしているのでしょうか。金融機関が行う住宅ローン審査について解説します。

 

1. 住宅ローンの審査とは

住宅ローンの審査とは、金融機関が行う住宅ローン利用者に対するローンを貸すかどうか判断する作業です。

 

住宅ローンにおいて金融機関が許容しているデフォルト(貸し倒れ)率は年率で約0.1%、デフォルト(貸し倒れ)した場合の物件売却からの回収率は約50%です。
住宅ローン利用者及び購入予定物件の情報から、将来その程度の確率で住宅ローンの回収ができるかどうかの判断を住宅ローンの審査で行っています。
では、具体的にどのようにしてその判断をしているのでしょうか。

 

2.審査プロセス

住宅ローンの審査は事前審査と本審査に分かれます。

 

一般的に事前審査はデータのみによる審査で住宅ローン利用者から提供される情報と個人信用情報を使って住宅ローン利用者の返済能力を審査します。
原則、事前審査段階では物件評価はしません。事前審査が承認になるとデータを裏付けるエビデンス(書類)を提出して本審査が行われます。住民票、源泉徴収票、課税証明書などを使って審査すると同時に物件に関して評価や適法性について審査します。
本審査で必要となる主な書類の一覧は以下の通りです。

 

  • 本人確認書類(運転免許証・健康保険証等)
  • 源泉徴収票
  • 確定申告書
  • 納税証明書
  • 不動産売買契約書
  • 重要事項説明書

 

3. 審査基準

住宅ローンの主な審査基準は、下記の11項目です。なお、住宅ローンの審査は金融機関がそれぞれ独自に行っているので、個別の審査基準は当然金融機関によって異なります。以下に説明する内容はあくまでも一般的な審査基準です。

 

(1) 年齢

基本的に住宅ローンは収入の中から返済することになるので、あと何年働けるのかという観点から年齢が重視されます。定年の時期が多少伸びたとは言え、多くの人が70歳までに退職するため、年齢が35歳を上回ってくると住宅ローンの返済期間(最長35年)より就労期間が短くなり、その分審査目線が厳しくなります。

 

(2) 年収

年齢と同様に、年収は審査上最も重要な数字です。年収の何倍までローンが借りられるか(年収倍率)、や年収の何割までローンの返済に充てられるか(返済比率)という言葉があり、住宅ローンの場合年収倍率で5〜7倍、返済比率で30%というおおまかな目安があります。
ただ、別途年収をどう評価するかという問題があります。例えば、同じ年収500万円でも、公務員とアルバイトではその年収が長期に渡って継続する確率が全く異なります。年収は勤務先、雇用形態及び勤続年数に応じて評価されます。

 

(3) 勤務先

年収の評価にあたり、勤務先は重要です。組織の永続性と雇用の安定の観点から、一番評価が高い業種が公務員です。次いで電気・ガス等のエネルギーインフラ系企業、さらに金融や大手メーカーなどの大企業の評価が高くなります。
一方、飲食や観光、農林水産等の一次産業は評価が厳しくなります。
個別企業レベルでは、帝国データバンクの評点や上場企業であるかどうか、資本金の額や従業員数も見られます。当然企業規模が小さくなればなるほど、評価は厳しくなります。

 

(4) 雇用形態

同じ組織に勤めていても、雇用形態によって評価は分かれます。当然正社員の評価が高く、自営業や派遣社員、パート・アルバイトの評価が低くなります。

 

(5) 勤続年数

勤続年数は高いほど評価が高くなりますが、目安としては3年以上同じ企業に勤めているかどうかが大きなポイントになります。
勤続年数が1年未満だと評価は厳しく、転職して間もない場合は、キャリアアップの転職かどうかが重要になります。

 

(6) 婚姻

結婚しているかどうかによって金融機関の評価は異なります。特に20代の若年層で50㎡に満たない物件を購入する単身者となると審査は相当厳しくなります。このような属性だと金融機関側は居住用で購入するのではなく、投資用として購入するのではないかと考えるためです。
居住用と投資用ではその後の返済のパフォーマンスが全く異なり、投資用の方が明らかにデフォルト(貸し倒れ)率が高いからです。
最近は居住用と偽って投資用物件を購入するケースも散見され、単身者に対する金融機関の審査目線が非常に厳しくなっています。

 

(7) 扶養家族数

扶養家族数は少ない方が高く評価されます。扶養家族が増えれば増えるほど生活費が増え、住宅ローンの返済に回せる原資が減るためです。

 

(8) その他借り入れ

現在借りている住宅ローン以外のローンの金額です。こちらも借り入れ金額が大きくなればなるほど、その返済のために住宅ローンの返済に回せる原資が減るので、審査上マイナスになります。
また、自動車ローンや教育ローンであれば問題ありませんが、消費者ローンを借りている場合は、借りているという事実だけで評価が厳しくなります。また、その他借り入れの情報は、残高のみならず、過去の延滞やデフォルトといった返済のパフォーマンスも含めて個人信用情報機関と言われる機関に登録されており、本人が申告しなくても金融機関側で把握されています。

 

(9) 物件評価

住宅ローンの場合は購入物件を担保に入れるため、購入物件の評価額が重要になります。仮に住宅ローン利用者が返済に滞った場合でも、物件の価格が住宅ローン残高を上回っていれば、金融機関は物件を売却することで住宅ローンを回収することができます。一般的には、金融機関の審査時に物件の評価額が少なくとも住宅ローンの貸付額以上であることが貸し付けの条件となります。

 

(10)自己資金

住宅の購入にあたり、自己資金を用意する人は将来のデフォルト(貸し倒れ)率が低いことが過去の返済データから証明されています。そのため、審査上多くの自己資金を出す人は当然高く評価されますし、金融機関によっては自己資金の比率によってローン金利を出し分けるところもあります。実際に自己資金を出さなくても、それだけの資金があることを銀行口座の残高などで証明することもできます。

 

4. 個人信用情報

上記住宅ローンの審査基準の他に非常に重要なのが、個人信用情報です。金融機関から何らかの形でローンを借りたり、割賦(分割)で物品を購入したりすると、それらの情報は全て個人信用情報会社へ登録されます。個人信用情報会社は以下の3社があります。

 

  • 全国銀行個人信用情報センター(以下、KSC)
  • 株式会社シー・アイ・シー(以下、CIC)
  • 日本信用情報機構(以下、JICC)

 

KSCは銀行系、CICは割賦やクレジットカード、JICCは消費者ローン会社が中心に加盟しています。
延滞やデフォルト(貸し倒れ)の情報は3社で共有し、貸金業法の総量規制の対象となる借り入れ情報はCICとJICCの2社で共有する仕組みがあり、基本的に住宅ローン利用者の自己申告がなくても、現在借り入れ中のローンの情報や過去の返済履歴は個人信用情報への照会により審査する金融機関側で全て把握されていると考えるべきです。

 

申告以上の多額の借り入れがあったり、過去の借り入れで延滞やデフォルト(貸し倒れ)を起こしていると審査上マイナスになります。年収や年齢、勤務先などの見た目上は特に問題ないにも関わらず審査に通らない場合、多くは個人信用情報が原因となっています。個人信用情報は金融機関からローン申し込み者に伝えてはいけないルールになっており、例え個人信用情報が原因で住宅ローンが借りられなかったとしても金融機関はそれを教えてくれません。あくまでも「総合的判断で融資見送り」と言われてしまうため、もし審査結果に納得出来ない場合は、自ら各個人信用情報会社へ照会し、どのような情報が登録されているか確認してみましょう。

 

5. 審査に落ちる人の特徴

審査に落ちる人の典型的な特徴は下記の通りです。

 

カテゴリー 内容
1. 年齢 年齢が高い(50歳以上)
2. 年収 年収が低い(300万円以下)
3. 勤務先 勤務先の規模が小さい

または自営業者

4. 勤続年数 勤続年数が短い(1年未満)
5. 雇用形態 正社員ではない
6. 婚姻 単身者
7. その他借入 住宅ローン以外の借り入れが多い
8. 物件評価 物件の評価額が低い(評価額<貸付額)
9. 自己資金 自己資金が少ない(自己資金の比率10%以下)
10. 返済比率 返済比率が高い(年間の返済額が年収の3割以上)

 

6. より良い条件で住宅ローンを借りるためには

上記の審査に落ちる人の特徴を踏まえて、より良い条件で住宅ローンを借りるためには、どのような準備をすればいいのでしょうか。以下の簡単にその対策をまとめました。

 

(1) 自己資金を貯める

自己資金を多く用意すればするほど、金融機関の審査は通りやすくなります。自己資金を多く拠出し、LTV(融資比率)が低いほど将来デフォルト(貸し倒れ)するリスクが小さいことはデータで証明されているからです。実際に自己資金を出さなくても、それだけの預金があることを示すだけでも審査が通りやすくなります。

 

(2) できるだけ年収を上げる

年収倍率という言葉がある通り、基本的にいくらまで住宅ローンが借りられるかは年収がベースになります。したがって、住宅ローンを借りる時までにできるだけ年収を上げておくことが重要です。

 

(3) 安定した職につく

安定した仕事についておくことが重要です。安定した仕事とは、業種や職種、会社、雇用形態全てが関係します。市役所で働いていてもアルバイトなら安定した仕事についているとは言えません。できれば正社員で名の知れた大きな企業に勤めるか、医師や弁護士、会計士といった資格で生きていける専門職に就くことが望まれます。公務員が最も望ましいのは言うまでも有りません。

 

(4) 勤続年数を伸ばす

現在の勤務先に何年勤めているかという勤続年数も重要です。就職や転職したばかりだと、その就業条件が継続するのかどうか実績がない分、評価されません。望ましいのは3年、少なくとも1年の勤続年数は必要です。

 

(5) 結婚する

一般的に未婚の状態で住宅ローンを借りるのは難しいです。金融機関は、結婚して家庭を持つとより責任感を持って生活するため、デフォルト(貸し倒れ)を起こしにくいと考えます。さらに単身者の場合は将来物件を賃貸に回す懸念もあり、金融機関から敬遠されます。

 

(6) 不要な借り入れはしない

住宅ローンは個人にとって最大の借り入れであり、そのタイミングで審査に通りやすい最善の状態にもっていく必要があります。そのためには、住宅ローン以外の借り入れはしない、又は借り入れがある場合は住宅ローンを借りる時までに完済しておくことをお勧めします。特に、住宅ローンを借りる前に投資用不動産を購入するためのローン(以下、投資用ローン)を借りることは避けるべきです。投資用ローンは金額が大きいため、返済比率に与える影響が大きく、場合によっては住宅ローンが全く借りられなくなります。

 

また、消費者ローンも借りない方が良いでしょう。消費者ローンはその金額よりも、消費者ローンを借りているという事実が金融機関側でマイナスの評価をされます。こちらも借りているだけで住宅ローンが借りられなくなる可能性があると考えた方がいいでしょう。

 

(7) 延滞やデフォルト(貸し倒れ)は起こさない

当然ですが、住宅ローンを借りる前に他の借り入れでデフォルト(貸し倒れ)や延滞を起こしてはいけません。返済実績は全て個人信用情報に登録されており、隠すことはできません。最近は携帯電話を割賦で購入するケースが増えており、その場合毎月の携帯利用料の支払いと本体代金の返済が一緒に口座から引き落とされています。この場合に、たまたま返済口座に資金を入れておくのを忘れて引き落としができないと個人信用情報に延滞と登録されます。これを繰り返していると住宅ローンが借りられなくなります。

 

7. それでも審査に落ちたらどうする?

住宅ローンの審査の内容は各金融機関で異なりますが、概して金利の低いローンを提供している金融機関の審査基準は厳しいです。これは金利が低い=低いデフォルト(貸し倒れ)率を想定している、ということから明らかでしょう。

 

金利水準と金融機関の関係を示したのが下図です。ピラミッドの上に行けば行くほど審査が厳しいですが、金利などの条件が優れていると理解して頂ければと思います。その意味では、ある金融機関の住宅ローンの審査に落ちた場合は、その金融機関よりピラミッドの下に位置する金融機関の審査を受けてみるといいでしょう。
最終的に最も審査基準が柔軟なのが、公的な住宅ローンのフラット35です。金利は高くなりますが、フラット35も選択肢に入れておくと良いでしょう。

 

 

8. まとめ

住宅ローンの審査がどのように行われているのか、どのような人が住宅ローンの審査で落ちるのか、さらにそれらを踏まえてより良い条件で住宅ローンを借りるために何をすればいいのかを説明してきました。住宅ローンの審査をパスするために気を付けなくてはいけないポイント及びより良い条件の住宅ローンを借りる方法をまとめると下記の通りになります。

 

  • できるだけ安定した職業につく
  • 年収を上げる
  • できれば30歳台、遅くとも40歳台のうちに借りる
  • 結婚後に借りる
  • 住宅ローン以外のローンは返済する
  • ネット銀行の審査に落ちた場合は、リアルの銀行やフラット35に申し込む

 

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著者: 中山田 明 モゲチェック CEO

外資系投資銀行で日本初の住宅ローン証券化を手掛け、その後約10年に渡り住宅ローン証券化業務に従事してきた、日本における住宅ローンファイナンスのプロフェッショナル。テクノロジーによる新しい住宅ローンサービスを生み出すべくモゲチェックサービスをスタート。

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