住宅価格が高騰を続けるなか、新築マンションでは予算上難しいことも多く、中古マンションを購入する人が増えてきています。その結果、中古マンションの価格も高騰しているわけですが、改めてコストパフォーマンス(以下コスパ)的に考えると「新築マンション」と「中古マンション」ではどちらが良いのでしょうか。
本記事では以下の内容について詳しく解説します。
- 新築マンションと中古マンションにかかる諸経費の種類
- 新築マンションと中古マンションのメリット・デメリット
両者のメリットやデメリットを理解したうえで、自分にとってコスパの高いマンション購入をしましょう。
このページの目次
新築・中古マンションにおける諸経費とは?
マンション購入を検討する際、コスパは意識したいものです。しかし詳しい諸費用について把握していなければ具体的な費用感は割り出せません。さらに言えばコスパの良し悪しの判断もつけにくいのです。
新築と中古では全然諸費用がそもそも異なります。そのためコスパは物件価格だけを見て判断しないのが大切です。マンション購入における費目を把握するためにも、ここでは、新築・中古マンション購入にかかる税金や士業報酬などを紹介します。
購入時の諸経費~新築・中古での費用比較~
マンション購入にあたって、支払う必要のある費目について解説します。紹介するのは以下の13費目です。
- 印紙税
- 固定資産税・都市計画税の精算
- 修繕維持積立基金
- 火災地震保険料
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 融資事務手数料・保証料
- マンション管理費
- 保証料
- 引っ越し費用
- 不動産仲介手数料
- リフォーム費用
では各費目を詳しく解説していきます。
新築マンションの場合 | 中古マンションの場合 | |
---|---|---|
印紙税 | 課税対象となる書類を用いた取引にかかる税金です。新築マンションを購入する際は、住宅ローンを組む際の金銭消費貸借契約書に対して印紙税がかかります。印紙税を納税する際は書類の該当金額に購入した印紙を貼り付けて割印をしましょう。 | 中古マンションを購入する際も、印紙税を納税する必要があります。課税対象になる文書は売買契約書や金銭消費貸借契約書が対象です。印紙税を納税する際は、書類の該当金額に購入した印紙を貼り付けて割印をします。 |
固定資産税・都市計画税の精算 | 不動産の所有者に対して1年分の固定資産税が課税されます。新築マンションの事例では、工事が完了した時点で課税対象となるため、不動産会社が一時的に立て替えることになります。 | 購入した中古マンションは固定資産税の課税対象です。年度の途中で中古マンションを購入する事例では、残りの月数と日数分の税金を計算し、売り手側に支払うことになります。
|
修繕維持積立基金 | 新築のマンションでは20年先を見越した修繕計画を作ることがほとんどです。マンションの修繕費は毎月の積立金で賄うことが多く、そのベースになる金額を修繕金として事前に預ける必要があります。 | ー |
火災地震保険料 | 災害や有事の際に備えるための保険に加入する必要があります。火災地震保険料については、築年数や所在地によって金額に大きな差があるため注意が必要です。 | 新築マンション購入同様必要 |
不動産取得税 | 不動産を所有すると不動産取得税が課税されます。納付する金額が固定資産税の評価額に4%をかけた税額で、それぞれの都道府県から通知書が送付されますので届いたら確認をしましょう。 | 新築マンション購入同様必要 |
登録免許税 | 不動産や抵当権を登記する際に登録免許税が課税されます。新築マンションの事例では、マンションの全体を登記することはもちろん、それぞれの部屋を販売する際に部屋ごとの登記が必要です。また、抵当権と呼ばれる住宅ローンを滞納した際に金融機関が不動産を売却できる権利に対しても登記が必要になるため、税金がかかります。 | 新築マンション購入同様必要 |
司法書士報酬 | 登記の手続きには司法書士に業務委託を行う必要があります。新築マンションを購入する際は、不動産会社が依頼する司法書士に対して報酬を支払いましょう。 | 新築マンション購入同様必要 |
融資事務手数料 | 住宅ローンを組む時にかかる手数料です。住宅ローンを組む際はさまざまな手続きが必要になるため、金融機関に手数料を支払うことになります。 | 新築マンション購入同様必要 |
マンション管理費 | マンションに住むには新築・中古にかかわらず、毎月、管理費が発生します。具体的にはマンションを維持するためのお金になります。 | 新築マンション購入同様必要 |
保証料 | 不可能になった際に、保証会社が残りのローンを立て替えて返済することになります。 | 新築マンション購入同様必要 |
引っ越し費用 | 引っ越しを行う際の費用です。新居を購入する際は家電や家具の買い替えが必要なケースも多いため、具体的に購入するものをまとめて、費用を用意しておきましょう。 | 新築マンション購入同様必要 |
不動産仲介手数料 | 売主から直接購入するため不要です | 購入する物件の紹介・契約に関する手続きに対する手数料です。なお、中古の物件であっても売主が業者の場合は不要のケースもあります。
しかし、その場合販売利益が仲介手数料以上に上乗せされていることがあります。
そのため、中古マンション購入においては不動産仲介手数料が高い点が、中古マンション購入における諸費用が高い要因といえます。
最大で金額は、物件の価格3%に6万円と消費税を足した額に設定されていることがほとんどです。 |
リフォーム費用 | ー | 中古マンションでは物件の状態に応じて、リフォーム費用がかかります。リフォーム費用の金額については築年数や物件の状態によって大きく異なるため、注意が必要です。 |
新築・中古マンション購入における費用感
新築・中古の諸費用がわかると、次に気になるのは具体的な費用感ではないでしょうか。新築マンションの諸費用相場は物件価格に対して3%~5%、中古マンションでは6%~10%が一般的であるため、リノベーションなら500〜2,000万、リフォームなら数十万〜300万ほど追加で必要になる点に注意しましょう。
なお「ホンネの不動産相談所」によると2022年10月現在の中古マンションの相場は約4,200万円、「マンションエンジン」による2022年10月現在の新築マンション相場は約7,100万円と記載されていることから、広いマンション相場の価格帯を照らし合わせたほうがよいでしょう。
ここではそれぞれの数字を踏まえ「マンション購入での費用感」を表でご紹介します。
マンションを購入した場合の諸費用相場 | ||
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価格帯 | 新築マンションの場合 (3%~5%) |
中古マンションの場合 (6%~10%) |
4,000万円 | 120万円~240万円 | 240万円~400万円 |
4,500万円 | 135万円~225万円 | 270万円~450万円 |
5,000万円 | 150万円~250万円 | 300万円~500万円 |
5,500万円 | 165万円~275万円 | 330万円~550万円 |
6,000万円 | 180万円~300万円 | 360万円~600万円 |
6,500万円 | 195万円~325万円 | 390万円~650万円 |
7,000万円 | 210万円~350万円 | 420万円~700万円 |
7,500万円 | 225万円~375万円 | 450万円~750万円 |
新築・中古それぞれのマンション価格相場と費用相場を照らし合わせると、現在の収入に対して購入可能なマンションはどの辺かを検討しやすくなるでしょう。
新築マンション購入では不動産会社に払わなければならない仲介手数料が不要です。そのため、中古マンションよりも低い諸費用であることがわかります。一方で新築マンションならではの費目もあることから、コスパを重視したマンション購入を検討する場合は「どのような諸費用が必要になるか」をあらかじめ確認することが大切です。
仲介手数料は不動産会社によって金額が異なります。具体的な金額を把握したい方は不動産会社に問い合わせると安心です。
【新築・中古マンション購入】税制面で選ぶ場合
住宅を購入する際に活用してほしい制度の1つが「住宅ローン控除」です。同制度を利用すると、住宅ローンの残高の0.7%を所得税から10年、または13年間控除できます。
住宅ローンの控除を受けるには、借り入れする金融機関の指定や、自分自身が住む住宅でなければいけないといった条件があります。コスパを軸にしたマンション購入の際は、住宅ローン控除が受けられるかも視野に入れるとよいでしょう。
また、中古マンションを購入する際はリフォームや改築などで細かく控除の対象が定められているため注意が必要です。
新築・中古マンションのメリット・デメリット
次に新築・中古マンションにおけるそれぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
まず、新築マンションのメリット・デメリットは以下の通りです。
新築マンションのメリット・デメリット | |
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メリット | デメリット |
購入の諸費用は物件価格の5%以内が相場 | 価格が高く、購入後の下落幅も大きい |
住宅ローン控除、不動産取得税、固定資産税の軽減措置を受けられる | 消費税がかかる |
階数や間取りの選択肢が豊富 | 購入前に実際の住宅や日当たりを確認しにくい |
室内設備を選べる | 立地条件の選択肢が少ない |
最新構造の設備が導入できる | 住居者間の人間関係がわからない |
10年間の瑕疵保証制度がある | 管理状態がわからない |
最新鋭のセキュリティが搭載 | ー |
管理費や修繕積立金が安い | ー |
駐輪場や駐車場が確保しやすい | ー |
住居者間の年代が近い | ー |
中古マンションのメリット・デメリットは以下の通りです。
中古マンションのメリット・デメリット | |
---|---|
メリット | デメリット |
新築に比べると価格が安く、価格の下落幅も小さい | 購入の諸費用が物件価格の5~8%が相場 |
住宅ローン控除、不動産取得税の軽減措置を受けられる | 新築住宅の固定資産税の軽減措置が適用できない |
個人から購入する際は、消費税はかからない | 階数や間取りの選択肢が少ない |
購入前に建物・部屋・日当たりを確認できる | 築年数や管理状態によって老朽化が激しい |
金額が安く、カスタマイズやリフォームにお金がかけられる | 最新鋭のセキュリティや設備が期待しにくい |
希望のエリアから物件を選びやすい | 希望する立地条件やエリアに物件がない |
人間関係ができあがっており、雰囲気が掴める | 人間関係の構築に時間がかかる |
管理状態を入居前に知れる | 修繕積立金が高い |
実際に部屋を見て検討できる | ー |
駅チカの物件が多い | ー |
新築・中古マンションいずれにもメリット・デメリットが存在します。コスパを軸にマンション購入を検討すると、思わぬところで住みにくさや馴染みにくさを感じるケースもあります。
特に初めてマンション購入を検討する方は新築にこだわるのではなく、中古マンションのメリットなども踏まえて検討してみるとよいでしょう。
コスパの高いマンション購入をするための相談
コスパを軸にマンション購入を検討する場合は、不動産会社・不動産サイトはもちろん、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。
なぜならネットや身近な情報だけで物件の購入を進めてしまえば、正しく有益な情報が得られないまま購入となり、最悪の場合大きなトラブルにつながりかねないからです。
不動産の専門家に依頼を行えば正しい情報が得られることはもちろん、トラブルを未然に防ぎながら自身の条件にあった物件をスムーズに見つけられます。
まとめ
記事をまとめると以下のようなことが考えられます。
新築マンションが向いている方 | 中古マンションが向いている方 |
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これらを踏まえて考慮すると、コスパの高さはマンション購入における条件などによってそれぞれ異なることが理解できたのではないでしょうか。
マンション購入を検討する際は、必要な初期費用はもちろん、住宅ローン控除や給付金を活用した入念な計画を立てることが大切です。特に初めてマンションを購入する方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、中古物件も踏まえた情報収集を行うとトラブルを防いだマンション選びができるでしょう。
今回はマンション購入について解説しましたが、住宅購入そのものを検討中の方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。