【家電のプロにきく】賢い冷凍術を知って、食費の節約と健康をかなえよう

話題沸騰中の【家電のプロにきく】インタビュー、第4弾!今回もマネのば編集部が”家電王”中村剛さんを尋ねました。

 

前回の記事では冷蔵庫・冷凍庫の改造ポイントについて学びましたが、今回のテーマはその中でも”冷凍”に焦点を当てていきます。食費の見直しや節約にはもちろん、冷凍することで健康にもつながるコツがあることをご存知でしょうか?冷凍方法や冷凍に適した食材、冷凍した食材を効果的に活用できる調理家電など、幅広い視点から家電王がお金の節約にも健康にも役立つ、賢い冷凍術を伝授します!

 

 

コロナ情勢が食卓に起こした変化

 

編集部
中村さん、先日は冷蔵庫・冷凍庫の見直し方法についてたくさん教えていただき、ありがとうございました!今日のテーマは”冷凍”ですが、まさしく日々の暮らしと関係が深いテーマなので楽しみにしています。よろしくお願いします。
中村さん
よろしくお願いします。冷蔵庫について前回お話した際にも、冷凍について少し話題にあがりましたね。新型コロナウィルスが流行して以降の数年は特に”大容量フリーザーブーム”がきていますので、”冷凍”はまさにトレンドともいえるテーマですよ。
編集部
コロナ禍以降、我が家ではリモートワークが中心になり、自宅で料理をしたり、食事をする機会が増えました。自然と、食料品の購入頻度も上がりましたし、自宅の冷凍食品のストック量も多くなったと感じています。こうした情勢も食生活の変化に大きく影響しているのでしょうか。

 

 

中村さん
そうですね。コロナ禍以降は”巣ごもり需要”が増えましたから、自宅での食事頻度や食事量が増えていることが大きな要因というのは間違いありません。また、同時期から業務スーパーやコストコといった大容量食材スーパーがトレンドとなり、まとめ買いが定着化したことで、自宅で食料品を冷凍する機会が増えたことが大きいですね。
編集部
この数年、業務スーパーとコストコは本当に人気ですよね。私も家族や友人たちと一緒に買い物に行って、皆で分け合って持ち帰った食品を冷凍しておく、ということを当たり前にやっています。ひと昔前には考えられなかった行動かもしれません。
編集部
個人的には、業務スーパーに関しては”大家族や業者が安く食材を仕入れに行く場所”というイメージが強く、一人暮らしで美味しさを追求する自分には正直なところあまり縁がないものと思っていました。でも最近では、”業務スーパーで買うべきおすすめ食材◎選!”といった記事もよく目にしますし、美味しく賢く食材を買える場所、という印象に変わっています。
中村さん
冷凍食品の浸透についてさらに時代を遡ると、1990年代に電子レンジの普及率が高まり、冷凍食品が身近なものになったこと、2008年に始まったふるさと納税の浸透によって返礼品で多くの食材が届くケースもあって、自宅で冷凍食品だけではなく「食材の冷凍」も加速化したこと、そして2011年の東日本大震災のような自然災害が相次いだ結果、自宅での食品ストックが定着化したことなど、様々な要因があります。
中村さん
それでも、先ほどお話したような”大容量フリーザー”が人気を博すようになったのはここ数年のことで、サブ冷凍庫を買い足して利用するご家庭も増えています。こうした背景を踏まえて、今回は食材の冷凍に関するアドバイスをはじめ、進化した冷凍技術、おすすめの調理器具などについて、お話していきましょう。

 

食品を冷凍するメリット

 

中村さん
そもそも、食品を冷凍することにはどんなイメージがありますか?
編集部
賞味期限を保つためにやむなく冷凍してはいますが、やはり買ってきて冷蔵庫で保存できる程度の期間内に食べられるのが1番だとは思っています。
中村さん
もちろん、鮮度の良いうちに食べることが最適な食材は多いのですが、冷凍する方が却って良い場合もあるんですよ。例えば、冷凍することで食品の栄養素を閉じ込めることができる食材もあります。小松菜やほうれん草などの野菜、えのきは買ってすぐに冷凍するのがおすすめです。中でもえのきは、冷凍してから使うことで、ポリフェノールの吸収率がアップすると言われています。
編集部
冷凍する方が良いとは知りませんでした!他に冷凍に適している食材はどのようなものがありますか?
中村さん
一般的に知られている肉・魚類はもちろんですが、中でも健康も意識したい場合には鶏肉がおすすめです。調理時間は、概して他の肉類より短くて済むので使い勝手が良いとされています。あとはバターやチーズといった乳製品も、鮮度の良いうちに冷凍するとよいですね。
編集部
バターやチーズは使い切るのが難しいわりに、冷蔵庫に長期間入れておくと味が劣化しやすい食材ですね。特にチーズ類は大容量で買いがちなので、冷凍に挑戦してみます!
中村さん
前回もお話しましたが、冷蔵庫はあまり詰め込みすぎると冷気が循環しにくくなるので電気代の観点からもおすすめしませんが、冷凍庫は逆にパンパンに詰め込んだ方が冷却効率がアップします。買ったらまず小分けにして冷凍する習慣をつけられると、電気代やフードロス削減の観点からも良いですね。

 

冷凍庫の知られざる仕組み、驚きの新技術

 

中村さん
ここからは冷凍技術についてお話していきましょう。ご自宅で冷凍すると、食材に霜がついて痛んでしまった経験、皆さんお持ちではないでしょうか。
編集部
日々悩んでいます!(涙)ラップの仕方が良くないのかなと反省して、丁寧に包むようにしているんですが、解決しなくて・・。私は食材の霜焼けに悩まされてきたので、どうしても、冷凍するのは最後の手段、という気持ちがぬぐえないんです。
中村さん
たしかに、ラップや保存容器の使い方を見直すことも大切ですが、霜の原因はそれだけではないんですよ。そもそもの冷凍庫の仕組みを説明しましょう。

 

中村さん
冷凍庫の背面には冷却装置が内蔵されています。使用するにつれて寒い庫内では冷却装置に霜がつくため、その霜を熱で定期的に溶かす機能が備わっているんですね。その霜を溶かすための熱は、なんと200℃くらいになります!
編集部
え!?冷凍庫の中で200℃の熱ですか!?
中村さん
そうなんです。高熱で冷却装置の霜は取れるわけですが、それだけの温度になるので、残念ながら冷凍庫内にも熱が伝播し、食材まで伝わってしまっているんですね。その結果、凍った食材が熱で一度溶けて、また凍って・・というのを庫内で定期的に繰り返しているというわけです。丁寧にラップしても霜がついてしまっている場合にはそれが原因です。当然、霜のついた食品は味が落ちてしまいます。
編集部
なるほど・・。冷凍庫側の問題も大きいということですね・・
中村さん
でも、安心してください。昨今の冷凍ブームとあわせて、冷凍技術も日々進化していますよ。例えば、旧三洋電機の流れを汲むアクア株式会社が開発した冷凍技術、その名も「おいシールド冷凍」。一言でいうと、食材に霜がつかずに鮮度を保つことができる技術です。

 

編集部
まさに冷凍の悩みを解決してくれそうな名前の技術ですね!

 

中村さん
冷却装置と庫内の間に開閉式のフタを装備したことで、先ほどお話した高熱が発生した時にはフタが閉じ、庫内に暖気が流れるのを防いでくれるんですね。
編集部
安心して冷凍庫がパンパンになるくらい保存できそうです!

 

冷凍食材を効果的に活用できるおすすめ調理家電

 

中村さん
最後に、冷凍食材をより効率的に活用できる調理家電をご紹介しましょう。大前提として、食材を冷凍するメリットは長期保存ができてフードロスを減らせること、安い時期・大容量のまとめ買いをすることで食費の節約ができることなどがあげられます。さらに出来るなら、調理の手間も省きたくはありませんか。
編集部
はい、時短は日常生活の永遠のテーマになっています。餃子など、焼くだけで済む冷凍食品はもちろんのこと、レンジで簡単に調理できるお惣菜などに頼ってしまうことも多いです。
中村さん
調理済みの商品を活用するのも一つの手ですが、買ってすぐ冷凍した鮮度の高い食材を簡単に調理できたら、料理のレパートリーも増えますし、栄養バランスもとりやすくなりますよね。例えば、シャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」(AX-XA30)には、まかせて調理という機能があります。この機能の便利ですごいところは、冷凍・冷蔵・常温の素材を一緒に調理できることなんです。
編集部
ヘルシオは知っていましたが、この機能については初耳でした!食材を並べてボタンを押すだけで料理が完成するなんて夢のようですね。
中村さん
食材をちょうどよく解凍できる製品は他にもたくさんありますが、ヘルシオのように解凍する必要すらなく、しかも他の温度帯の製品と一緒に並べるだけで、そのまま食事が完成するというのは、技術の進化を感じますよね。これなら普段から使っている食材を選べますし、ご家庭の味付けを楽しめるのも嬉しいところです。
編集部
食材を冷凍することへのハードルがますますなくなりそうです!

 

【まとめ】冷凍のコツを知って、節約と健康をかなえよう

編集部
今回も興味深いお話をたくさん聞くことができました。冷凍・解凍技術の進化を感じますし、なにより冷凍することへの意識が変わりました。残り物を捨てるのがもったいないからやむなく冷凍するのではなく、むしろ健康面やコスト抑制などの観点からも、積極的に冷凍してよいのだと感じました。
編集部
冷凍のコツを知れたので、食材の買い方も変わりそうです。一人暮らしなので、コスパが良いとわかっていてもついお得な大容量の食材を避けていたのですが、正しく冷凍できれば毎日の食費の節約にも繋がることが知れてよかったです!
中村さん
今回は冷凍に焦点を当ててお話しましたが、関連する技術や家電について詳しく知ったり、知識をアップデートすることは、その家電を使う生活習慣の見直しにも繋がります。長い目でみると健康や家計の見直しにも良い影響もあります。生活環境が変わったり、家電の買い替えを検討するときには、またぜひ色々と調べてみてくださいね。
編集部
中村さん、本日もありがとうございました!

 

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東京電力エナジーパートナー(株)中村剛

2002年に『TVチャンピオン』のスーパー家電通選手権で優勝し、体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営にあたる。現在は家電王として動画『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信している他、テレビ、雑誌、新聞、WEBなどのさまざまなメディアで暮らしに役立つ家電情報を発信中。
https://youtube.com/@kurashinolab

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