自分の好きな自治体にお金を寄付し、税金控除を受けられるふるさと納税。実質負担2,000円で全国各地の返礼品がもらえるため、人気が高まっています。
しかし、いざふるさと納税をやってみたはいいものの「税金が減っているような気がしない」「税金が減っているか確認する方法がわからない」といった経験をした方も多いのではないでしょうか。
ふるさと納税は、しっかりと手続きを踏めば必ず住民税が安くなります。今回はふるさと納税で差し引かれる住民税額の確認方法と計算方法を紹介します。最後まで読んで、確実に控除を受けられるよう準備しておきましょう。
このページの目次
控除される住民税額を確認する3つの方法
ふるさと納税で控除される住民税額を確認する方法は以下の3つです。
- 「住民税決定通知書」で確認する
- 控除額を計算する
- 年間の寄附額をメモしておく
1.「住民税決定通知書」で確認する
ふるさと納税で差し引かれる住民税額は、5〜6月に市区町村から送られる「住民税決定通知書」で確認します。控除された税額は、通知書の「税額」欄にある「税額控除額」の項目で確認しましょう。

(引用:岐阜県各務原市公式ウェブサイトより)
会社員には5〜6月に「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税特別徴収税額の決定通知書」が送られます。こちらも通知書の「税額」欄にある「税額控除額」に控除された税額が記載されています。
通知書は一度紛失してしまうと再発行できません。自治体で所得・課税証明書を発行してもらえれば同様の内容を確認することができますが、手数料がかかります。なくさないよう注意して保管しましょう。
2.控除額を計算する
ふるさと納税で差し引かれる税金は、所得税と住民税です。確定申告をした方は所得税・住民税からの控除、ワンストップ特例制度を利用した方はすべて住民税からの控除となります。控除される割合は、住民税からの方が高くなっています。
所得税・住民税額ともに、自身で計算可能です。住民税の計算は、以下の2つの過程をクリアして算出しましょう。
- 住民税からの控除(基本分)
=(寄附金額 - 2,000円)× 10% - 住民税からの控除(特例分)
=①通常用いる式 (寄付金額 - 2,000円)×(90%-所得税率×1.021)
②①の計算方法で算出した額が住民税所得割額の20%を超えた場合に用いる式(住民税所得割額)×20%
この式で用いる所得税率は、以下の表のとおりです。該当する数字を当てはめて計算しましょう。
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
〜195万円 | 5% |
195万円〜330万円 | 10% |
330万円〜695万円 | 20% |
695万円〜900万円 | 23% |
900万円〜1800万円 | 33% |
1800万円〜4000万円 | 40% |
4000万円〜 | 45% |
例として、妻と高校生の息子と3人暮らしの山岸さんをモデルに住民税の控除額を確かめてみましょう。
山岸さんの情報
- 年収:500万円
- 控除上限額:40,000円
- ふるさと納税の寄附額:35,000円
- 所得税率:10%
- 住民税所得割額:290,000円
住民税(特例分):(35,000円ー2,000円)×(90%ー10%×1.021)=26,331円
残り5,369円は所得税から控除され、山岸さんは寄附の全額分控除を受けられました。
自身で控除額を算出できれば、通知書を待たずとも控除額の確認が可能です。
3.年間の寄附額をメモしておく
家計簿やスマホのメモ帳などに年間の寄附額をメモしておくだけでも、ある程度の金額を確認できます。また、ふるさと納税サイトの中には、年間の寄附額や「あと◯円寄附できる」金額の目安を教えてくれるものもあります。「寄附金額から2,000円を引いた額が控除される」と覚えておけば、おおよその控除額の計算が可能です。
ただし、この方法で算出できるのは詳細な数字ではないため「気づいたら上限額を超えていた」といったケースが起こる場合もあります。具体的な数字を知りたい場合は、通知書での確認や計算での確認をするようにしましょう。
ふるさと納税をしても住民税が安くならない原因は?
「ふるさと納税をしたにもかかわらず、住民税を確認してみると控除されていなかった」といった経験をした方もいるでしょう。住民税が控除されなかったときは、何らかの原因があります。控除を受けられないケースを4つ紹介するので、当てはまるものはないかチェックしてみましょう。
確定申告をしていない
ふるさと納税は、返礼品選び・寄附・返礼品受け取り・確定申告の4ステップで手続きが完了する制度です。会社員・公務員の方はワンストップ特例制度を使えば申告の必要はありませんが、税控除には原則確定申告が必要です。住民税が控除されない原因はさまざまですが、中でも確定申告を忘れてしまう方は多くいるようです。
ふるさと納税で税控除を受けるためには、確定申告をして寄附金控除を受ける必要があります。自治体から送付される「寄附金受領証明書」を使って申告をしましょう。
もし確定申告をし忘れていても、ふるさと納税を行った翌年の1月1日から5年間のうちに申告・更正をすれば、控除を受けられます。返礼品を受け取って手続き完了ではないため、注意しましょう。
ワンストップ特例制度を使っていない
ふるさと納税には、会社員や公務員の方が確定申告をせずとも利用できる「ワンストップ特例制度」が設けられています。この制度を利用していない場合は、確定申告のし忘れ扱いとなり税金が控除されません。
ワンストップ特例制度は、返礼品の申し込み時に制度利用の有無を選択できます。制度を利用する予定の方は、制度を使う旨を自治体へ忘れずに報告しましょう。
ワンストップ特例制度とは、確定申告が不要な方で寄附先が5団体以下の場合に利用できる制度です。確定申告が必要となる場合や6以上の自治体に寄附した場合は制度対象外となるため、注意しましょう。また、期限までに自治体から送られてくる書類を送付しなかった場合も、制度を使えなくなります。
確定申告については、こちらで詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
住宅ローン控除を受けている
住宅ローン控除を受けていると、ふるさと納税での控除をすべて受けきれない場合があります。住宅ローン控除は、最長13年間ローン残高の0.7%が所得税と住民税から控除される制度です。確定申告で住宅借入金等特別控除の手続きをすると受けられます。
税金の控除は、最低限支払うべき金額を下回ることはありません。加えて、住宅ローン控除は控除額が大きくなりやすく、ふるさと納税で差し引かれる金額が減ってしまう可能性があります。控除しきれなかった額は単なる出費になってしまうため、住宅ローン控除を受けようとしている場合は、事前に控除額を確認しておくとよいでしょう。
控除額の上限を超えて寄附をしている
ふるさと納税では控除の上限額が定められており、これを超えて寄附してしまうと超過分が控除対象外になってしまいます。控除しきれない場合は自己負担となり、支出が増えてしまいます。
ふるさと納税で控除できる額は自身の年収や家族構成で変わるため、事前に控除額を確かめましょう。ふるさと納税サイトや総務省サイトで簡単に控除上限額をシミュレーションできるので、返礼品を選ぶ前に試してみてください。
まとめ
ここまで、ふるさと納税で差し引かれる住民税の確認方法と計算方法について解説しました。ふるさと納税は制度を理解して利用しないと損をしてしまいます。本来お金の負担を減らすために行っていることが、逆にお金の負担を増やしてしまうと非常にもったいないです。都度ふるさと納税サイトで上限額などを確認しながら利用しましょう。
ふるさと納税については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。あわせて読んでみてください。