イチからはじめる家計改善!マネのば編集部のFP相談体験会レポート【後編】

マネのば編集部YのFP相談体験会レポートの後編!前編の内容はこちら

 

前編では、具体的な家計に関する悩みをFPに共有し、「家計の見える化」に挑戦しました。子どもを私立の学校へ通わせたいけれど貯蓄がなかなかできていない、というお悩みを森FPに打ち明けた編集部Y。

 

家計簿をつけたほうがよいと頭では分かっているけれど始めても続かない編集部Yに対して、森FPが提案したのは「2週間家計簿」。2週間だけ家計簿をつければ、家計を「見える化」できて、今後は家計簿なしでも家計のやりくりがうまくいく、という提案でした。

 

後編では、頑張って2週間家計簿に挑戦した編集部Y一家の「家計の課題」を森FPと一緒に抽出するところから始め、すぐに始められる家計改善や貯蓄の目標設定のアドバイスを受けてきました。FP相談を疑似体験できるレポートとなっていますので、ぜひご一読ください。

 

2週間家計簿での気付き

前回宿題としてお出しした、2週間家計簿はいかがでしたか?うまくつけられましたか?
編集部
バッチリ作成して来ました!ただ、2週間とはいえ、数十円などの小さな出費まで落とさず記録するのって、なかなか慣れないので大変でした。
普段、家計簿をつける習慣がないと、このような取り組みはかなり大変ですよね。本当にお疲れ様でした。作成されている中で、何か「気付き」はありましたか?
編集部
そうですね。こうして改めて記録を残してみると、お金をかなり使っているなという印象を持ちました。
なるほど。ご主人はどうおっしゃっていましたか?
編集部
はい。実は、夫は「家計見直しをして節約するのはストレスだから、できればもっと収入を上げることに注力し、節約よりも仕事を頑張りたい」と申していました……。
そうですね。節約のしすぎでストレスが貯まるとよくないので、削る金額だけでなく、手取り収入を増やす、という手段でも家計改善していけると理想的ですよね。節約だけでなく、今後の収入の上昇も加味した場合どう計画するか、といった点にも本日の後半で触れていきます。
編集部
ありがとうございます。とはいっても、そんなにすぐに収入が激増するわけでもないので、現状を真摯に受け止めて、家計改善をするのは必要だと思っています。
かしこまりました。では、今回は実際に2週間つけていただいた家計簿をもとに、まず現状分析し、次に達成したい目標とのギャップを知り、最後に今後の対策をどう行うかまで、一気に家計改善を進めていきます。それでは、早速作成いただいた2週間家計簿を見てみましょう。
編集部
よろしくお願いいたします!

 

2週間家計簿の分析方法

いただいたデータを項目ごとに分類してみました。

 

  食費 雑貨 外食・テイクアウト 趣味・娯楽 被服費 交際費 交通費 美容関係 旅行 医療費 合計
3月9日 ¥0
3月10日 ¥3,577 ¥1,400 ¥2,400 ¥4,800 ¥12,177
3月11日 ¥1,231 ¥1,380 ¥4,197 ¥3,000 ¥1,576 ¥6,800 ¥18,184
3月12日 ¥2,209 ¥1,309 ¥640 ¥2,462 ¥6,620
3月13日 ¥853 ¥500 ¥544 ¥1,897
3月14日 ¥9,567 ¥4,180 ¥9,360 ¥23,107
3月15日 ¥1,330 ¥544 ¥1,874
3月16日 ¥4,182 ¥670 ¥4,852
3月17日 ¥5,280 ¥4,256 ¥9,536
3月18日 ¥3,000 ¥8,030 ¥1,720 ¥2,125 ¥2,600 ¥17,475
3月19日 ¥1,170 ¥2,109 ¥3,100 ¥1,000 ¥400 ¥7,779
3月20日 ¥800 ¥2,810 ¥3,610
3月21日 ¥3,950 ¥3,930 ¥1,780 ¥594 ¥10,254
2週間合計 ¥22,495 ¥27,971 ¥23,774 ¥3,400 ¥3,000 ¥2,125 ¥8,368 ¥7,262 ¥6,800 ¥12,170 ¥117,365
1か月概算 ¥52,638 ¥65,452 ¥55,631 ¥7,956 ¥7,020 ¥4,973 ¥19,581 ¥16,993 ¥15,912 ¥28,478 ¥274,634
別途月額込 ¥15,000 ¥35,935 ¥325,569

(表1:項目ごとに編集後の、編集部Yによる2週間家計簿)

 

編集部
結果としてはどうでしょうか?やはりお金を使いすぎですか……?
たしかに少し標準的なラインよりは支出が多いかと思います。具体的な改善へのアドバイスは最後のステップなので、まずはこの2週間のデータを基に、どう現状分析するのかをお伝えしますね。
編集部
よろしくお願いいたします!
まずは、今回いただいたデータは13日分(約2週間)でした。それに対して、1か月は365日÷12で、約30.4日です。この2週間の生活が1か月続くとなると、30.4日÷13日≒2.34倍、つまり今回の13日間のデータに2.34倍をかけると、おおよそ1か月分の生活費が算出されるわけです。
編集部
なるほど、そうやって1か月分に計算し直すのですね。前回教えていただいたように、毎月の固定費は別で計算しますよね。
おっしゃる通りです。毎月1回の固定費に、2.34をかけてしまったり、計上し忘れがないように注意しましょう。そうして1か月分の生活費に計算し直したら、手取り収入から住居費など固定費とともに引き算して、毎月いくら貯められるポテンシャルがあるのか、という貯蓄可能額を算出します。

 

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
収入
月次収入手取り ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000 ¥740,000
ボーナス手取り ¥550,000 ¥550,000
支出
住居費 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000 ¥153,000
奨学金返済 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000 ¥30,000
自動車ローン ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000 ¥32,000
保険料 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥23,000 ¥123,000
通信費 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000
水道光熱費 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000 ¥34,000
旅行・帰省 ¥1,000,000
生活費 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569 ¥325,569
貯蓄型保険 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000 ¥15,000
iDeCo等 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000 ¥90,000
収支
¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥572,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥22,431 ¥-527,569
年間収支
現金収支 ¥269,172
先取り貯蓄設定済み ¥1,260,000
総収支 ¥1,529,172

(表2:世帯の手取り収入から支出を引いたキャッシュフロー12か月分)

 

編集部
表1の合計金額325,569円が表2の生活費になっている、ということですね。理解しました。毎月は、なかなか貯蓄しづらく、ボーナスで貯めるのをメインにしている感覚ということが分かりましたね。
現状がだんだん見えてきましたね。今度は、現状と、お子さまの私立中学校への進学という目標のギャップを知る作業をしていきます。
編集部
「現状と目標のギャップを知る」ですか。なんだか難しそうですが、しっかりついていきます。

 

貯蓄の目標設定の仕方

お子様を私立に通わせたい!という夢を細分化して、具体的な目標に変えていきます。
編集部
「夢を目標に変える」ですか?
そうなんです!「お子様を私立に通わせたい!」と漠然と思っているだけでは、普段、どう行動すれば、その夢が叶うのかが分からない状態です。そこで、お子様を私立に通わせる、ということは、具体的に何歳までにいくら積み立てが必要で、今からいくら貯めればよいのかを、知る必要があります。こうして期限を明確にして今すべきことをハッキリさせることを、夢を目標に変える、と言います。
編集部
なるほど。分かりました。具体的にどう細分化していくのですか?
この図のように、各学校や塾ごとに、細かく分けて、それがいつ必要なのか、いくら積み立てるべきなのか、を計算します。多くの方が毎月できる限りの貯蓄をしている、という実態なのです。しかしそうなると、どこまでいっても終わりがなく不安が消えません。そこで、何のために、いつ使うために、いくらかかるから、今これだけ貯金(投資)しています、という数字的な根拠に基づいた貯蓄をすれば、不安が消えるのです。

 

学費種別 必要資金 必要時期 月次貯蓄金額 年間必要貯蓄額
中学受験 ¥2,400,000 5年後(残60か月) ¥40,000 ¥480,000
私立中学 ¥4,200,000 8年後(残96か月) ¥43,750 ¥525,000
中学塾代 ¥540,000 8年後(残96か月) ¥5,625 ¥67,500
私立高校 ¥2,900,000 11年後(残132か月) ¥21,970 ¥263,636
予備校 ¥2,400,000 11年後(残132か月) ¥18,182 ¥218,182
大学費用 ¥8,000,000 14年後(残168か月) ¥47,619 ¥571,429
学費計 ¥20,440,000 ¥177,146 ¥2,125,747
老後必要資金 ¥50,000,000 30年後(残360か月) ¥138,889 ¥1,666,667
学費+老後 ¥70,440,000 ¥316,034 ¥3,792,413

(表3:各ライフイベント出費のかかる時期と金額、毎月の必要積立額)
※各教育費はライフプランシミュレーターmilize Proで扱う統計値を基に概算したもの。老後必要資金は現在の生活水準から独自に算出したもの。

 

この計算で行くと、Yさんご一家は、学費と老後用の資金として月に316,034円貯蓄する必要があるということになります。
編集部
なるほど。たしかにこれさえできていれば大丈夫、という安心感につながりますね。ただ、こうしてみると、すごく大きな金額を同時に貯めなくてはならないことが分かり、現実の恐ろしさ、登るべき壁の高さに圧倒されますね……
たしかにそうですね。ただ、この金額はこのまま預貯金だけではなく、投資・運用を織り交ぜていけば、もう少し負担が小さくなります。
編集部
私たちの労働だけでなく、お金にも働いてもらう、ということですね?
そうです。投資に絶対はありませんが、おそらく、学費の捻出を投資・運用が一部助けてくれるはずです。投資・運用を加味すると、こうなります。

 

学費種別 必要資金 必要時期 月次貯蓄金額 年間必要貯蓄額 投資運用加味月額 年間必要貯蓄額 運用年利
中学受験 ¥2,400,000 5年後(残60か月) ¥40,000 ¥480,000 ¥37,000 ¥444,000 3%
私立中学 ¥4,200,000 8年後(残96か月) ¥43,750 ¥525,000 ¥39,000 ¥468,000 3%
中学塾代 ¥540,000 8年後(残96か月) ¥5,625 ¥67,500 ¥5,000 ¥60,000 3%
私立高校 ¥2,900,000 11年後(残132か月) ¥21,970 ¥263,636 ¥19,000 ¥228,000 3%
予備校 ¥2,400,000 11年後(残132か月) ¥18,182 ¥218,182 ¥15,500 ¥186,000 3%
大学費用 ¥8,000,000 14年後(残168か月) ¥47,619 ¥571,429 ¥36,000 ¥432,000 4%
学費計 ¥20,440,000 ¥177,146 ¥2,125,747 ¥151,500 ¥1,818,000
老後必要資金 ¥50,000,000 30年後(残360か月) ¥138,889 ¥1,666,667 ¥62,000 ¥744,000 5%
学費+老後 ¥70,440,000 ¥316,034 ¥3,792,413 ¥213,500 ¥2,562,000

(表4:ライフイベントごとにかかる時期と金額、毎月の積立額に、投資を加味した積立額を追加したもの)

 

編集部
なんと!投資を加味すると、かなり毎月すべき貯蓄額が下がりましたね。ただ、この3%、4%、5%って何を意味していますか?
こちらは期待利回りです。比較的近い将来に必要な資金は、低リスクな商品を選んでください。大きな価格変動リスクを負った状態で、万が一現金化しなくてはならないタイミングで大暴落していたら目も当てられない状況に陥ってしまうためです。逆に、お子様の大学費用やご自身の老後生活費用など、かなり遠い未来であれば、大きな価格変動リスクを負ってもよいでしょう。超長期で投資を続ければ大きな価格変動リスクも飲み込んでしまうほど大きく増えるはずだからです(ただし、くどいようですが投資に絶対はありません)。よって遠い将来に現金化する予定の資金はリスクの高い商品を選ぶことにして、期待利回り5%としています。
編集部
その資金がかかる時期、現金化しなければならない時期に応じて、商品を変えるのですね。「目的別貯蓄」とは、こういうことを指すのですね。
そうなんです。ここまで目標が明確になったら、改めて、現状と目標を比較してギャップを見てみましょう。

 

貯蓄目標と現実のギャップを埋める

2週間家計簿から計算した、貯蓄可能額と、毎月貯めるべき貯蓄額を比べてみましょう。

 

年間貯蓄可能額⇒表2 年間必要貯蓄額
⇒表4(投資運用加味後)
目標と現実のギャップ
¥1,529,172 ¥2,562,000 ¥1,032,828

(表5:貯蓄可能額と目標積立額とのギャップ計算)

 

編集部
年間で100万円以上のギャップがありますね。けっこう大きな金額なのですが、どうしたらいいのですか?
ひとつの方法としては、節約です。Yさんの家計の課題は、このように感じます。

 

  • 外食、テイクアウト
  • 本への支出の多さ
  • コンビニや自販機の利用の多さ
  • 駐車場代の多さ

 

編集部
たしかにそうですね。外食・デリバリーサービス・カフェはかなり利用している自覚があります。コンビニや自販機、駐車場は無意識に出費していたな、と感じます。
共働きでいらっしゃるので、自炊を増やしましょう、というのは大変ですよね。例えば、自宅に運んでくれるデリバリーサービスではなくテイクアウトにする、よく行く外食チェーンのランクをひとつ下げる、スーパーのお惣菜は割引シールが貼られる時間を狙っていく、カフェではなくコンビニの休憩スペースやファーストフード店で休む、などのほんのちょっとした心がけで、月に数万円変わってくることもあります。
編集部
なるほど。自炊で作り置きなどすればベスト、とはいえ忙しくて難しい場合は、そういったちょっとした工夫でもよいのですね。
雑貨類では書籍への出費が多く見られましたので、ここをサブスクリプション(以下サブスク)にするのはいかがでしょうか。月1,000円程度で一部の本が(紙ではなくネット上ですが)読み放題になるサービスが存在します。
編集部
サブスクは固定費なので避けていましたが、あえて利用することで逆に節約になる、という考え方もあるのですね。
はい。他にもアイデアはたくさん出てきます。まず、週末のお買い物などで自動車をよく利用しているようですが、その駐車場代が意外と大きな出費になっているようです。都心に向かうのではなく少し郊外に行って大きなショッピングモールなどでお買い物するのはいかがでしょうか。駐車場代がゼロ、もしくはすごく安いはずです。自販機でのジュース購入も、ディスカウントストアであらかじめ箱買いしたものをお出かけ時に家から持って行くと、安く済みますよ。また、コンビニに2週間で3回行かれたようですが、この回数を減らし、ドラッグストアかスーパーに変えるだけでも定価販売ではなくなることが多いため、節約効果があります。コンビニを利用しなければならない際も、プライベートブランドをメインに買い物をするだけで効果があります。
編集部
たくさん節約アイデアがあるのですね!
そうなんです。ポイントは、アイデアをたくさん挙げて、嫌なもの以外はできるだけ実践してみることです。嫌だなと感じるものは、ストレスになりますし、長続きしません。ご自身のQOL(生活の質)が下がらない範囲とは何なのか、許せるOKライン、NGラインを家族で話し合うのです。この考え方は、年間で予算立てする旅行費などにも通じます。
編集部
なるほど。受け入れられる節約アイデア、取り組みたくない節約アイデアを夫と話し合ってみます。
はい。試しに先ほどのアイデアを全て盛り込んで、1か月の生活費を試算しましたら、月6万円ほど改善できる見込みになりましたよ。

 

年間貯蓄可能額 年間必要貯蓄額 目標と現実のギャップ
¥2,261,580 ¥2,166,000 ¥95,580

(表6:節約アイデアを取り入れて家計改善をした後の、目標と現実とのギャップ)

 

編集部
え、先ほどのアイデアだけで6万円も変わるのですか?そしてギャップは埋まり、むしろ年間で見るとマイナスどころかプラスになっています。
そうです。この6万円/月の節約は、今後家計簿をつけなくても実践できます。○○をする、△△はしないことにする、と決めて実行するだけでいいのです。
編集部
また、年間必要貯蓄額自体が先ほどより下がっていることが気になりました。
そうなんです。生活費が改善され6万円下がったことで、老後の必要資金が下がりました。よって、老後への積み立て額が減り、その分が反映されているのです。具体的な計算はこのようにしました。

 

  老後生活費 老齢年金概算 不足月額 不足年額 必要自助努力分
老後生活費 ¥397,569 ¥280,000 ¥117,569 ¥1,410,828 ¥49,378,980
老後生活費 ¥336,535 ¥280,000 ¥56,535 ¥678,420 ¥23,744,700

(表7:生活費を6万円節約したことによる老後の自助努力分の減少。老後は65歳から35年間と仮定)

 

編集部
なるほど、生活費を節約する、ということは貯蓄可能額を増やすだけでなく、必要な老後資金自体も減るのですね。そして節約のためにすべきことを決めて実行すれば、あとは勝手に生活費が下がるので、家計簿をつけなくてもよくなるのですね!
はい!これで現状分析、目標とのギャップ確認、今後すべき対策まで明らかになりました。目標とのギャップが埋まったようで良かったです。それでは、最後の仕上げに、先取り貯蓄を設定してしまいましょう!

 

先取り貯蓄は事前に設定する

編集部
先取り貯蓄設定は、すでにiDeCoなどをしているのですが、さらに追加で設定するのですか?
はい。お子様関連、老後資金の貯蓄はすべて設定します。基本的な考え方としては、必要以上のリスクは取らない。できるだけ価格変動リスクの少ない試算の設定にして、投資の力を借りなくてはならない部分だけを投資にします。
編集部
なるほど。私の家庭の場合はどうでしょう。
Yさんの場合は、極力生活費の切り詰めは少なくしたい、というご意向があり、必要なお金(私立の教育費)も大きく、時期が迫っているため、投資を最大限に活用していく貯蓄設定となります。
編集部
なるほど。一般的には積立預金や元本保証のある金融商品も織り交ぜながら、という方が多いですが、私の場合は、リスクを積極的にとっていかないと間に合わないのですね。
毎月の自動で引き落とされる貯蓄設定としては少し大きな金額なので、抵抗があるかも知れませんが、絶対に叶えたいとおっしゃっていた夢のためですので、臆せずいきましょう!これこそが家計簿を不要にするための最大のコツなのです。
編集部
たしかに!目標を明確に立てたのだからやるしかないですね。脱家計簿もしたいので。
先取り貯蓄設定をしてしまえば、人間は残った金額で意外となんとか暮らしていくものです。節約することに決めた項目による、削減見込みに無理がないことが前提ですが。先取り貯蓄の具体例はこうです。

 

  何年後? 元々の毎月自動貯蓄 これからの毎月自動貯蓄 選択商品例 目標年利
中学受験 5年後 ¥0 ¥37,000 債券70%程度のバランスファンド 3%
私立中学 8年後 ¥0 ¥39,000 8資産バランスファンド 3%
中学塾代 8年後 ¥0 ¥5,000 8資産バランスファンド 3%
私立高校 11年後 ¥0 ¥19,000 債券50%程度のバランスファンド 3%
予備校 11年後 ¥0 ¥15,500 債券50%程度のバランスファンド 3%
大学費用 14年後 ¥15,000 ¥36,000 株式70%程度のバランスファンド 4%
老後資金 30年後 ¥90,000 ¥29,000 全世界株式ファンド 5%
合計 ¥105,000 ¥180,500

(表8:3%、4%、5%という運用目標にそれぞれ商品ジャンルを当てはめた具体的な先取り貯蓄設定例)

 

編集部
なるほど、狙っていくリターンごとに、選ぶべき商品群が異なるのですね。もともとは外国株式ファンドなどだけで固めていくイメージでした。
15年、20年後など遠い未来に使うお金であれば外国株式ファンドのようにリスクを大きく背負ってもよいかと思いますが、資金を使う時期が迫っている場合、リスクの高いファンドでは大幅な下落があり得ますので、リスクを抑えたファンドを選ぶべきと考えます。
編集部
わかりました。商品を分ければ、このファンドは高校受験用、など明確にお金に色分けができる、というメリットもありますね。
おっしゃる通りです。これで現状分析、目標とのギャップ確認、解決策の導入まですべて完結なのですが、最後にご主人からのご要望である、節約より収入アップによって解決したい、というお考えの方へ提示したい解決策をお伝えします。
編集部
お願いいたします!

 

節約ではなく収入を上げたい場合の注意点

冒頭でおっしゃっていた「節約より収入を上げたい」というお話ですが、こちらの反映の仕方を番外編としてお伝えします。
編集部
ありがとうございます。伺った内容を夫に伝えます。
生活費を6万円/月、改善したと仮定して、本来今から貯蓄設定しなくてはならない金額は、約217万円/年ですが、あえて〇万円/年しか貯蓄しない、という方法があります。×年後に手取り金額をぜったいここまで上げる、と決めて、それまでは目標より少ない金額を貯蓄します。そして、数年後に手取り収入が上がってから、必要資金と現状、資金が必要な時期を再度計算し直して、一気に貯蓄を加速させていくのです。
例えば、生活費は特に改善せず現行の年間貯蓄額のまま暮らし、3年後に手取り年収が上がるので、それで対処する、という場合です。この場合3年後から必要な年間貯蓄額は約255万円/年になり、今から生活費改善して取り組むよりも約39万円/年高くなります。この場合の注意点は、現在節約すべき金額が減って生活が楽な反面、教育資金および老後資金の準備完了すべき期間が今よりも短くなるため、投資・運用効果がさほど期待できなくなることです。
編集部
なるほど。そういう手もあるのですね。ただ、問題の先送りをしている感が強く、投資・運用というお金が働いてくれる割合も減る、となるとあまり得策ではない気もしてきました。
今を楽しむことも将来への貯蓄もどちらも重要なことだけに、悩ましい問題ですよね。最後はご夫婦でよく話し合うことです。最終的に決めるのは、FPではなく、ご夫婦お二人なので。
編集部
たしかに、大事なのは夫婦がちゃんと同じ方向を向いて頑張れるかどうかですよね。とことん夫婦で議論を重ねてみます!
教育費や老後資金がバッチリ準備できて、なおかつ今もストレスなく生活できるようになることを応援しています!また、何でもお気軽にご相談くださいね!
編集部
はい!今回は、かなり具体的なアドバイスをしていただきましてありがとうございました!解決へのイメージがとても湧きました!

 

まとめ:脱家計簿までの3ステップ

家計簿をつけたくても習慣化できない方や、節約したくても何から手をつけてよいか分からない方には、2週間家計簿がおすすめ。何となく今のままでよいのかな、というモヤモヤした気持ちがスッキリします。

 

手順としては3段階。まず2週間だけ家計簿をしっかりつけたら、それをもとに1か月分の概算生活費、貯蓄可能額を算出します。これが現状分析です。次に目標達成に向けた理想的な貯蓄額も同時に計算し、ギャップを知ります。ギャップを埋めるために削ることと見直すことを決めたら、最後に見直しの実行と、強制的に毎月引き落とされる先取り貯蓄設定をするだけ!

 

最初だけ頑張れば家計簿から半永久的に解放される、2週間家計簿。みなさんもぜひ取り組んでみてくださいね!

 

FPに相談する前に、まずは自分で家計のやりくりのどこに課題があるのかを見つけたい方は、「家計見直し診断」もぜひお試しください。

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