ライフスタイルやライフプランが多様になり、生涯独身でいる方も増えてきました。独身の場合と既婚の場合、金銭的に余裕があるのはどちらでしょうか?想定される出費の内訳が異なるので、それぞれの具体的なシチュエーションを想定しつつ比較してみましょう。どちらのライフプランを選んでも、充実した暮らしができるよう両者を比較しました。
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既婚の場合の出費とは 金銭的余裕はある?
独身と既婚では出費の内訳が異なります。既婚の場合の出費とは、夫婦2人、または子どもも含めて生活する上での出費を指し、教育費や住居費が大きな出費といえるでしょう。
特に住居費は家族が過ごす場所として広さが必要であり、結果として家賃やローンが高い物件に住む傾向にあります。
金銭的余裕があるかは、夫婦の収入やライフスタイルによって異なります。特に教育費・被服費・娯楽費は夫婦の価値観で大きな差が出るので把握しておきましょう。
収入に比べて金銭的に余裕がないと感じる方は、出費の内訳を書き出しておくと視覚的に把握できます。
衣服・食費・住宅費用の平均
一般的な衣服・食費・住宅費用の目安は次の通りです。
衣服7,691円
食費66,678円
住居費18,620円
合計93,259円
また、子どもがいる家庭では次の費用も発生します。
- 教育 10,239円
- 教養・娯楽 24,987円
特に食費や住居費は地域差があるので、首都圏や物価の高い地域はもっと多いと考えられます。
この統計では世帯人数の指標が3.34人となっているため、30代の夫婦に子どもが1,2人いる場合の家庭をイメージするとよいでしょう。
子育てにはどれくらいの予算が必要?
子育てにはどれくらいの予算が必要かを検討する場合に家庭によって大きな差が生まれるのは「教育費」です。
なぜなら教育費は進路によって学費が大きく異なるからです。幼稚園・小学校・中学校・高校の進学先が公立校か私立校かによっても必要な学費には大きな差が出るといえます。
すべて公立だった場合、平均的な学費は次の通りです。
幼稚園223,647円/年
小学校321,281円/年
中学校488,397円/年
高校457,280円/年
私立校を選択した場合は、この金額の2~5倍かかると考えましょう。
また、食費や生活費も、子どもがいる場合は、人数に比例して出費が増えることとなります。
近年一般的になっている、核家族(夫婦+子ども1名)の場合は次の通りです。
食費72,376円
住居費21,597円
水道・光熱費19,611円
被服費16,376円
出典:総務省(家計調査年報 核家族共働き世帯 平成16年)
食費と住居費は子どものいる家庭のほうが多くかかることがわかります。
食費は単純に、人数が増えればそれだけ材料費や調味料などが必要になると考えられます。住居費は家族の人数に合わせて広さが必要になるため、家賃や住宅ローンが高くなるといえるでしょう。
なお、おかねのコンパスメディアの『夫婦の生活費はいくらにすべき?年代別の平均額&理想の支出割合を総まとめ!』によると「月収の15%が食費の理想」とされています。月収が30万円の場合、45,000円となります。平均値の高低については人それぞれで認識が異なりますし、家族の人数によってもさまざまですが、月収を使用項目ごとにわけて割合を考えるこで、家計を見直すきっかけにつながるでしょう。
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家計見直しについてはこちらの記事も併せてご覧ください。
家計を見直す3ステップ!出費を抑えて徹底改善させる方法を解説!
独身で想定される出費とは 生活費以外は使ってしまう場合も
既婚と比べて独身だと出費に余裕がありそうですが、そうとは言い切れないのが現実です。なぜなら、独身の場合は金銭的負担を誰かと共有できないからです。
特に食費や住居費は、他者と共有した方が割安に済む場合も多く、自炊などの節約がしやすいのも同居人がいるケースならではといえるでしょう。
また独身の場合、既婚家庭に比べると可処分所得が多く、自分のために全額使えるため、娯楽費などの出費がかさみやすいのが特徴です。計画的に貯蓄し、収入と貯蓄のバランスを保つ必要があるといえるでしょう。
食費・住居費 独身はコスパがよくない?
独身の場合、コストパフォーマンスがよくないのは食費と住居費です。
独身の場合の食費と住居費、それにともなう水道光熱費は次の通りです。
食費48,410円
住居費22,116円
水道・光熱費11,383円
出典:総務省(家計調査2021年度)
住居費と水道光熱費は、前述した既婚世帯と比較してさほど相違ありません。
食費に関しても、核家族世帯が7万円ほどなので、独身世帯で4万円代後半なのは食費にお金がかかっているといえるでしょう。
独身の場合は特に食材を他者とシェアできないので、食材に無駄が出やすい・食事を外食で済ませる傾向が高い点が、食費がかかる要因となっています。
外食をする機会を週に何回までと決めるなど、収入と出費のバランスを見てルールを決めると、食費の節約に繋がりやすいといえるでしょう。
生涯独身者の平均貯蓄額推移
生涯独身者の平均貯蓄額についての年収別の推移を見てみると、年収が高いからと言って必ずしも貯金額も多いとは限らないのが分かります。
年収 | 貯蓄額(平均値) | 貯蓄額(中央値) |
---|---|---|
無収入 | 335万円 | 0円 |
~300万円 | 472万円 | 20万円 |
300~500万円 | 690万円 | 145万円 |
500~750万円 | 1,614万円 | 562万円 |
750~1000万円 | 1,954万円 | 1,310万円 |
1,000~1,200万円 | 1,542万円 | 1,201万円 |
1,200万円以上 | 2,477万円 | 1,750万円 |
出典:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査 令和3年度調査結果
平均値と中央値で数値が異なる理由は、平均値は貯蓄額が多い方も含めて平均を出すのに対し、中央値は貯蓄額の統計を並べた際の中央を指しているからです。そのため、中央値のほうが実際の貯蓄額に近いといえるでしょう。
中央値で見ると収入が「750〜1,000万円」と「1,000〜1,200万円」では逆転しているのがわかります。収入があるとその分、自身で使ってしまう傾向があるともいえるため、独身者は貯蓄の意識の高さが貯蓄額に反映されると考えましょう。
生涯独身と既婚、それぞれのメリット・デメリット
生涯独身と既婚では、どちらもメリットとデメリットがあります。出費内訳が異なる点が、金銭的な意識の差を生みやすいのが大きな理由です。
それぞれのメリットとデメリットは次の通りです。
生涯独身の方の場合 | |
---|---|
メリット | デメリット |
自身のために使えるお金が多い | 食費や住居費が割高になりやすい |
既婚の方の場合 | |
---|---|
メリット | デメリット |
ライフプランが定まりやすく、貯蓄意識が芽生えやすい | 総合的に必要なお金が多く、計画的な資産形成が必要 |
夫婦どちらかが働けなくなっても金銭的に支えられる可能性がある | ー |
生涯独身は自身の趣味やこだわりにお金をかけられるのはメリットだといえるでしょう。一方で、食費や住居費などを誰かと共有して負担できません。結果として1人当たりにかかる費用が既婚家庭と比べて割高になります。
既婚家庭は家族の将来を考えたライフプラン設計を定めるケースが多く、貯蓄の意識を持って家計を管理する傾向にあります。一方で総合的にかかる出費は多く、計画的な貯蓄が必要といえるでしょう。
それぞれの出費傾向を意識したうえでの資産形成が大切と考えられます。
まとめ|生涯独身でも既婚でも、金銭的余裕のために資産管理をしよう
生涯独身か、結婚して家庭を築くのかは、自分ひとりの意思だけで決めるのが難しい場合もあるでしょう。どちらを選ぶにしても、生涯金銭的に困窮しないよう資産管理をしっかり行うよう心がけましょう。
特に病気などで働けなくなった場合、社会から孤立しないよう、友人や近所にネットワークを築いておく必要があります。お金について考えるのが苦手な方は、月にいくら、何に支払っているか把握するだけでも、自身の出費の傾向が知れて、無駄遣い防止に繋がります。
また、月の収入を鑑みて貯蓄に回す金額を設定するのもよい方法です。余裕のある暮らしを続けていくには、努力も必要なことを理解しておきましょう。