貯金は手堅いけれど、将来に向けて資産を増やしていくのであれば、投資も検討してみてはいかがでしょうか。しかし、投資を始めるにあたっては「商品選び」が重要になります。株式であれば、その会社の業界での地位や、業界の将来性、投資信託であればポートフォリオなどを確認することが望ましいです。投資を始めるには、選んだ金融商品が何に投資するものなのかや、過去の運用実績などを把握しておかなければ、思わぬリスクに直面する可能性があります。
この記事では貯金と投資の特徴やリスクなどの比較を行ったうえで、投資を行う場合の注意点を解説します。投資を検討する方はぜひ参考資料の一つとしてお役立てください。
このページの目次
貯金と投資の違いは「リスク」と「資産増加」
貯金と投資は広い意味で資産運用に含まれます。しかし、両者は商品の性質に違いがあり、リスクや資産増加のコツを理解しなければなりません。
貯金は多くの場合、銀行口座にお金を預けるかたちで運用します。ペイオフ制度によって国から1000万円までの預金と利息が保証されており、元本割れもしません。ただし、利息がほとんどつかず資産を増やす目的には適さないといえるでしょう。
一方、投資は株式や投資信託などの金融商品を購入する形式で行います。
運用状況によって利益が見込まれる可能性がありますが、元本保証がないため大きな損失を生む可能性があるのがリスクです。
貯金と投資のメリット・デメリット
貯金と投資にはそれぞれメリット・デメリットがあります。中にはリスクを取りたくないからと貯金しかしない方もいますが、実際は投資をしないことにより利益を得ることの機会を損失しているというリスクが生じている場合があります。
反対に利益を求めるあまり、投資ばかりしすぎる方も大きなリスクが生じます。
両者のバランスを保つためにも、それぞれのメリット・デメリットを把握しましょう。
①貯金のメリット・デメリット
貯金のメリットは以下の通りです。
- 1000万円までは元本保証がある
- 急な出費に対応できる
- 元本割れのリスクが低いため、計画的に貯金ができる
貯金は銀行口座に預けるのが一般的ですが、お金が減らない安心感があります。特に口座1つにつき、1000万円と利息分までが国から保証されるペイオフ制度によって、銀行が倒産しても財産が守られる点は大きなメリットといえるでしょう。
しかし、貯金のデメリットには以下の2つあると考えられます。
- 利息がほとんどつかない
- インフレリスクに対応できない
銀行口座の利息は高くても年0.1%程度であり、利息による利益は見込めません。また、物価が持続的に上昇するインフレが起こると実質的な資産額は減るため、インフレリスクに対応できない点もデメリットです。
②投資のメリット
投資のメリットは以下の通りです。
- 資産を大幅に増やせる可能性が高い
- 幅広い商品がある
- 税制優遇制度を活用できる
株式や投資信託には、毎年数%の利益を出している商品があります。たとえば100万円を投資した場合、5%の利益の商品の場合、1年で105万円まで資産が増えたことになります。
また、NISAやiDeCoといった税制優遇を受けられる投資信託もあり、利益の全部または一部を非課税にできます。
つみたてNISAについては以下の記事も参考にしてみてください!
投資を行う際の注意点4つ
資産形成のために投資を行うと、元本の値上がり(キャピタルゲイン)や、利子配当(インカムゲイン)を受け取れる可能性があります。しかし、メリットが大きい一方でリスクもあるため、以下のポイントを意識しましょう。
- 長期・分散・積立を意識する
- 商品の性質を理解する
- インフレリスクを理解する
- 最低限の生活ができる資産は用意する
上記のポイントを理解していると、より的確に投資を行えます。ここからは、それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
①長期・分散・積立を意識する
子どもの学費や住宅購入、老後資金のために資産運用を行う場合、長期的な視点で投資しましょう。投資は短期であればあるほど、リスクが高くなります。急激な下落相場では資産がかえって減ってしまうので注意が必要です。
一方で長期的に積立投資を行うと、相場の短期的な動きに最終的な利益が左右されにくくなります。たとえば「S&P500」などの主要な株価指数の場合、短期の投資だと下落と上昇を繰り返すため、資産が減る可能性が高いです。10年以上の長期で投資を行った場合だと、おおむね上昇傾向であることから、急激な下落相場によるダメージを避けた投資ができます。つまり、最終的な利益が下落によって左右されにくいことから「長期的な積立投資に向いている」と考えられます。
一時的に損失が出る可能性はありますが、積立を行っていけば相場の平均に近い利益を上げやすくなります。
このように、投資は長期であればあるほどリターンを安定して得やすくなるので、「長期」「分散」「積立」の3点を意識するとよいでしょう。詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
②商品の性質を理解する
投資をする際に商品選びは重要です。株式であればその会社の業界での地位や業界の将来性、投資信託であればポートフォリオなどを確認します。選んだ金融商品が何に投資するものなのかや、過去の運用実績などを把握していないと、思わぬリスクに直面する可能性があるのです。
たとえば投資信託の場合、先進国と新興国のどちらを投資対象の中心にしているかによって値動きの幅が変わります。先進国は安定した運用が期待できる一方、新興国は利益と損失の幅が大きい点が特徴です。
投資をする際は、自分がどんな商品に投資しているのか把握しておきましょう。
③インフレリスクを理解する
「投資はしたいけれど大きな金額をかけることにリスクを感じる」といった方もいるでしょう。投資初心者の方であれば、最初は「少額投資」から始めてみましょう。
ただし、資産の大半を現預金で保有した場合はインフレリスクへの対応力が落ちる点は視野に入れておく必要があります。
お金の価値は社会に流通する商品やサービスとの相対評価で決まります。商品やサービスの価格が上がるインフレが起こると、相対的にお金の価値も下がる点がデメリットです。
具体的には物価が10%上がると、生活費も同じ分だけ増えます。収入や貯金額が同じとすると、実質的に収入や貯金が10%減ったのと同じ意味です。
投資するかどうか慎重に判断したい方や、少額投資しか始めたくないと考える方は、保有している現預金のインフレリスクを認識しておきましょう。
④最低限の生活ができる資産は用意する
投資を行う際に利益を追うあまり、現預金が減りすぎてしまうのも危険です。ケガや病気など、突発的なアクシデントに必要な出費を賄えない可能性があります。万が一の貯蓄額の目安は、生活費の6ヵ月分~1年分と言われています。最低ラインは生活費半年分が目安と考えましょう。
投資信託の場合、売買の注文をしてから成立までに数日の時間が必要です。いざというときに間に合わない可能性があるので、あらかじめ口座に最低限の残高を残しておきましょう。
投資に回す金額の決め方2種類
ここまで記事を読んで、自分が持っている資産やこれから得る収入をどれくらい投資に回せばよいか疑問を持った方もいるでしょう。
投資額の決め方は「年齢」「収入の安定性」の2点を意識して行うと、安定した資産運用につなげられます。
上記の2点を目安にすると、安定した資産運用につなげられます。
特にお金については急な出費にも対応できる「生活のための資金」、教育費や住宅費などに合わせた「大きな支出の積立」と「投資資金」の3つに分けるのがおすすめです。ライフスタイルや働き方に合わせて柔軟に変更するとよいでしょう。
①年齢で決める
自分の年齢を貯金の割合とする方法もよいでしょう。たとえば、資産1000万円を持つ40歳の方であれば「全体の40%を現預金」として保有するイメージです。年齢と貯金の割合を連動させると加齢とともに現預金の割合が増えるので、老後資金を確保しやすくなります。
また、投資を始めたばかりで取り返す時間が十分にある20代、30代であれば積極的にリターンをねらえる点もメリットです。自分の年齢を貯金の割合と連動させれば、貯金と投資のバランスを誰でも簡単に決められます。
②収入の安定性によって決める
生活防衛資産として確保しておく貯金は「自分の稼ぎ方」によって決めるのが一般的です。たとえば収入の変動が大きい自営業者やフリーランスであれば、生活費を1年分と多めに準備しておきましょう。
収入が安定している会社員や公務員は半年分の生活費を確保しておくと、急な出費にも対応しやすいです。
また、生活費そのものを見直して無駄な出費をなくすと、より多くのお金を投資に回せて資産を効率的に増やせます。稼ぎ方に合わせて生活費や防衛資産の額を決め、残った部分からどれだけ投資に回すか決めるのもおすすめの方法です。
まとめ
ここまで貯金と投資の違いや理想的なバランス、リスクを解説しました。自身のライフスタイルに合わせて、貯金と投資のバランスを決めると、効率と安定性を両立できます。つみたてNISAなどの制度も活用しながら、ぜひ自分に合ったバランスで投資を始めてみてください。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。